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【書籍レビュー】ハリウッド映画の実例に学ぶ映画制作論「Between the scenes」

   

Between the scenes

映像制作に欠かせない「場面転換」についてフォーカスされた書籍

玄光社さんより献本いただきましてレビューさせていただきます。

特別な1カット映像などを除き、どの映画にもある「場面転換」。映画制作に関する書籍はいくつも出ているものの、実は「場面転換」に関しての本というのはほとんどなかったとのこと。

書籍では以下の10項目について分かれて説明していく

  1. 場面転換とは
  2. ぶつかり合うロケーションを選ぶ
  3. 出来事をつなげる
  4. 感情のピーク ー移動中の主人公
  5. 感情の引き潮 ー風景と息抜き
  6. 音楽と場面転換
  7. シーンの組み合わせ
  8. タイムマシーン
  9. ケーススタディ 「グラディエーター」
  10. テレビと映画の場面転換比較

約2時間近くある「映画」をクライマックスまで最後まで観客を引っ張るというのは確かにすごい。Web動画コンテンツが近年どんどん短尺化していく中でこれだけ没頭させるというのは非常に至難の技と言えるでしょう。確かに面白い映画というは最後まで一気に見てしまう。そしてその裏側にはこの「場面転換」の技術があるのだということがこの本を読むとよく分かります。

本の中では対象者を分けて「脚本家諸君」「監督諸君」「編集者諸君」と3人の対象がそれぞれ何をすべきか、ということが書いてあるのでそれぞれの視点での役割というものも学ぶことができる。

 

想像力をフルに活用して読む必要あり

比較的ボリュームの少ないように見えますが、侮ることなかれ。読んで理解するのには「想像力」がいります。それもそのはず、なんせ映像の表現を「書籍」として文字にしているので、読んだ文字を頭の中で、映像に変換して想像しながら読み進めないとなかなか理解することは難しいです。さらにいうと事例で挙げられている映画を見ていなかったりすると、さらに理解が難しい場合もあります。読む場合はかなり気合をいれる必要があるかもしれません。

ただ本には映画で使用したシーンの写真があったり、図解があるので気になった部分をつまみながら理解していくのも最初はいいかもしれません。

between the scenes

between the scenes

 

事例:映画「グラディエーター」過去最長8分間にも及ぶ場面転換

「場面転換」について簡単に言うと、例えば脚本では「A地点を移動してB地点に行く」と一行書いてあっただけでも、そこを移動しているシーンを細かく描写するのか、はたまた移動シーンを一切入れずに描くかによって、捉え方も違うということでした。

第10章ではリドリースコット監督の「グラディエーター」から主人公マキシマスが森の中で処刑される寸前から逃げ切り、アフリカに連れていかれるというシーンがあります。なんとその場面転換に8分もの時間を割いて、そのシーンがなぜ8分も必要でその間にどのような「場面転換」で観客の感情を巻き込んでいくのかというメカニズムを解説しています。

普通に映画を見ていたら何も気づかなかったところに、マキシマスに感情移入をしてしまうように作られている計算しつくされた8分間のシーンに脱帽!って感じです。

飽きさせないための「場面転換」はビジネスのプレゼンテーションでも活用できるかも

映画の制作とはかなり離れるのですが、この「場面転換」というのはプレゼンテーションでも実は非常に有効な使い方ができるのではと思いました。さすがに2時間という時間のプレゼンテーションはなかなかないかもしれませんが、ある一定の時間内で何かを提案する時には映画と同様の「リズム」と「見ている人(観客)」を巻き込むということは映画と共通だったりします。表現方法は異なるものの、ビジネスでの応用を映画から学ぶというのも面白い活用方法かもしれません。

 

映画ファンにも是非おすすめしたい

内容としてはもちろん製作者に向けて書いた本ではあるものの、これは是非とも「映画ファン」にもおすすめしたい一冊です。コアなファンというのは(自分もそうですが)一つの映画を何回も見たりします。最初はもちろんストーリーを見ますが、見終わった後に時代背景とか調べて知識を増やして二回目見るとかそういう楽しみ方があると思うんですが、この本を読むと「ああこのシーンが入っているのは前のシーンでこれを引き立たせるためか!」など監督の意図を汲み取るなどの新しい楽しみ方ができるかな、と思いました。

もちろん楽しみ方は自由で、そういう解釈を抜きにフラットな状態で見るのもいいのですが、監督の意図を「場面転換」から読み解きながら映画の解釈を楽しむという見方もあるかもしれません。

僕自身読み終わったあとに、また映画が見たくなりました笑

映像制作に関わる人でなくても、楽しめる一冊です!

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