【映像制作おすすめ本】名監督の技を盗む!スコセッシ流監督術
学術書レベルの内容を分かりやすく翻訳
ボーンデジタルさんから出版されている「スコセッシ流監督術」を献本いただきましたのでレビュー記事を書かせていただきます。
ボーンデジタルさんの本には以前からかなりお世話になっておりまして、個人的にも何冊も勉強させていただきました。
特におすすめなのはこちら
こちらの本に関しては2013年の旧ブログ記事にてレビューしております。
ボーンデジタルさんの本は内容的には「学術書」レベルのものにも関わらず、レイアウトや文章が分かりやすく読みやすいというのが個人的な印象です。
そもそもこの本はどのような人におすすめか
さて本題の今回の書籍ですが、映像制作のプロフェッショナルな方はもちろんのこと、趣味で映像を作っている方にもおすすめできます。というか、扱っている題材がおそらく多くの人が見ている映画が題材になっているので、それこそ映像を作ってなかったとしても「映画好き」の方の解説本として楽しむこともできます。
題材になっている映画はこちら
- タクシードライバー
- ウルフオブウォールストリート
- レイジングブル
- アビエイター
- ディパーテッド
- ヒューゴの不思議な発明
- エイジオブイノセンス
映画を見ていればなおさら内容はよく理解できますが、映画を見ていなくても十分楽しめる内容となっています。
「威圧感を出すような演出をしたい」という要望があったらどうするか?
たとえば、こういう要望がクライアントからあったり、または自分の映像でこういう演出をしたい場合どうしたら良いでしょうか??
本書ではこのような事例に基づいて、スコセッシがどのような演出をしたのかということを本の一部ではありますが紹介させていただきます。
事例として挙げられているのが「ウルフオブウォールストリート」
(映画もかなり面白かった!)
このチャプターでは「一触即発」というテーマで、力関係を示すということについて解説しております。
左ページにて解説があり、
右ページにはその解説に基づいたシーンがあるので、めちゃめちゃ頭に入ってきます。
お見せできるのはほんの一部になるんですが、これがなんと細かい解説で全部説明いただいております(しかも名監督の!)さらにすごいのがカメラの動きまで説明を加えて、「このように動かすことで主人公の感情を表現している」などのカメラの動きに対しても演出の意図という説明があることに驚きです。
「映画」というエンターテイメントを「演出学」に置き換えた解説書
普通、映画を見ている時にはこのような「演出感」に気づきもしない。というよりは意識させないように感じさせるのが「演出」なのかもしれない。映画自体はエンターテイメントとしてもちろん楽しめるものの、どうやったらそのようなシーンが生み出されるかという裏側を垣間見ることで、別の楽しみ方もできます。
解説されているのは映画の一部のシーンではあるものの、他のシーンも「演出」においてどのような撮り方をしているのかというのを知る意味でも、もう一度この本を片手に映画を見てみたくなりました。
映画監督を目指していなくても、映像について考えるいいきっかけになることは間違いない
僕は映画監督を目指しているわけではないですが、やはり映像を作る上でこういう考えがあることを知っているだけでも必ずや役に立つと思います。実際に映画で参考にされているシーンのような(そのままのシーン)を撮ることもないかもしれないですが、学ぶべきはそのパーツというよりは「こういう演出がしたいから」「こうするべき」のような考えるヒントのようなものかと思います。
そういう意味においても、映画を見ていて「なんとなく引きこまれた」「このシーンが印象的だった」というものはどこかで自分でメモをして、逆にこの本の解説のように自分から「おそらくこの立ち位置だからこう感じた」「このカメラワークがこうだったから良かった」などの自分なりの分析をして、考えるクセをつけることが大事なのかと思いました。
確かに自分の作る映像も過去に見た「好きな映像」からインスピレーションを沸かせているものも多い。ただそうなるとかなり偏りが出てしまうので、色んなニーズに応えるためにもその幅は持っておきたいところ。そういう意味においてもこの本はきっと役立つことでしょう。
名監督の技を盗む!シリーズは他にもあります!
スピルバーグ編とタランティーノ編の2冊が出てます。個人的には「ダニーボイル編」なんかあったら嬉しいかなと思いますので、ボーンデジタル様ご検討いただければ幸いです!
以上、おすすめ本のレビュー記事でした!